通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2026年3月号 松井  望 東京都立大学都市環境学部教授に聞く

地方創生施策で自治の実践を全国的に共有
郵便局の公共性に評価も まずは本来業務を


 地方創生施策に対して批判的な意見の先生も多いと思います。私自体は、自治の実践の運動としては一定の評価をしています。国から地方への指示であったり、人の移動を強制するようなことには全く賛成いたしませんが、自治体が取り組んでいる自治の実践を全国的に共有できた点は地方創生施策を10年間続けてきたことの一つの成果だと思います。
 自治の実践は、人口流入への対策や観光事業といった個別の事業はこれまで政策分野、省庁ごとのいわば縦割り的に情報共有されてきたと思います。省庁横断的、さらに社会全体的に共有されているものは、ほとんどなかったと思います。地方創生施策は、いわばプラットフォームとなり、自治の実践を各省横断的・社会的に共有できた点は、評価してもよいのではないかと思います。

 【郵便局への期待】
 郵便局への行政事務の委託では、小規模な自治体であれば職員自体が少ないので、第二行政役場的な機能を郵便局が担っていくというのはあるかもしれません。
 地域の名望家が特定郵便局長になった歴史的な背景から見ても、郵便局は地域の生活拠点になっているところも多いように思います。総務省が言っている「コミュニティ・ハブ」になっているのかもしれません。地域の生活拠点やコミュニティ・ハブとしての活用には全く賛成ですが、資金面、人員面を含めて本当にそれが維持できる体制なのかどうかが気になります。公共的な活動をされている団体が別の公共性で評価されることはあり得ると思うし、良いこととは思うのですが、まずは本来業務が優先されるべきでしょう。